柴田錬三郎著「猿飛佐助」(文春文庫)は戦国時代一のトリックスターである猿飛佐助の話から始まる。
書籍名としては猿飛佐助となっているが、同時代に活躍した真田十勇士の列伝といった形を取っている。
この「猿飛佐助」に次ぐ「真田幸村」と2冊で1対の上下巻構成のようなものだ。
現在、大河ドラマで「真田丸」が放送されている事もあり、僕は言わば下巻にあたる「真田幸村」から読んでしまった(泣)。
ゴールは大坂夏の陣なのだから、史実的には結果は皆様ご存知の通り。
こうした伝奇時代小説では、真田幸村が薩摩に逃れて生きていたといった話もある。
この柴田錬三郎の柴錬立川文庫版がどのような結末かは読んでのお楽しみ!
歴史物はよく読ものだが、不思議と今まで猿飛佐助の話は読んだことが無かった。
昭和の時代、あるいは戦前の子供達は立川文庫を読んで初めて歴史に親しんだようだ。
こうした伝奇ものに出てくる忍者は、娯楽の少ない時代において子供たちの心を勇躍させた事は想像に難くない。
かの本田宗一郎も立川文庫が歴史的知識の元だと語っていたとの事だ。
この本は真田十勇士の副題が付いているが、織田信長も出てくるし、淀君や柳生の章もあり戦国時代を多面的に楽しめる。
やはり伝奇時代小説と言えば忍者と柳生である。
あとは隆慶一郎の「一夢庵風流記」に出てくる前田慶次のような傾奇者だろう。
現在のような不透明な時代、閉塞感が漂う時代だからこそ、
こうした豪放磊落な武将やトリックスターが暴れ回る小説が読まれるようになる。
大河ドラマで「真田丸」が取り上げられ、豊臣秀吉や徳川家康を相手に
弱小国衆である真田昌幸・信繁親子が躍動する話が盛り上がるのも納得だ。
柴田錬三郎著 猿飛佐助 真田十勇士 (文春文庫)
真田丸では徳川家康、本多平八郎忠勝主従のおにぎりコントが話題だが、
せっかく三谷幸喜が脚本を書いているのだから猿飛佐助ももっと型破りに描いていいとおもう。
まさに伝奇的大河ドラマ!
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