ゴールデンウィークに入ると、せっかくの機会だから読書をしようと本を取られる方も多いでしょう。
僕も少し遊び心を持って経済小説を手に取ってみました。
本書は「メガバンク絶滅戦争」の改題版です。
三菱東京UFJ銀行をモデルにしたメガバンクの生存をかけた物語となっています。
単なるメガバンクの内部抗争を描いたものではなく、ファンドマネージャーである波多野 聖の知識・経歴を活かした
読み応えのあるグローバル金融ものとなっています。
折しも三菱自動車による燃費データ不正問題が世間をにぎわしています。
三菱自動車はかつての相次ぐリコール隠しによる不祥事で懲りていなかったのですね。
本書は三菱東京UFJ銀行をモデルにしているので、当然三菱自動車をモデルにした会社も出てきます。
そこでも最低な会社として出てきます(笑)
その三菱グループから出向者を受け入れている側としては、士気が上がらないのも無理はないと思いますが。
ただ、この小説でも重要なモチーフになってきますが、僕は「三菱」の名にこだわる気持ちは分かりますね。
三井と住友が一緒というのは未だに違和感がありますが。
三菱銀行、三井住友銀行、安田銀行でいいんじゃないかな。
「メガバンク最終決戦」は企業グループものと言うよりはグローバル経済ものです。
グローバルになればなるほど、自分のふるさと、自分の国、祖国を強烈に意識するようになる事は面白い現象です。
もちろん、そうした中しっかりと売国奴も出てきますが(^O^)
しかし単なる愛国者と売国奴との闘争といった単純なものでなく、
単なる愛社精神のかたまり対ドライなビジネスマンといったものでもなく、複雑な関係が入り組んだ非常に面白い物語でした。
国に対する思い、会社に対する思い、私生活の問題、生い立ちの問題等々、複雑な関係が入り組みあい、
読み直すとまた新たな発見があるような著作となっています。
数学の様に複雑に入り組んだ構成が描かれているのも波多野聖がファンドマネージャー出身だからでしょうか。
波多野聖著 「メガバンク最終決戦」 「銭の戦争」
波多野聖の本では「銭の戦争」(ハルキ文庫)も面白かった。
日露戦争から第二次世界大戦に至る歴史を金融裏面史として虚実織り交ぜて描いた非常に面白い本です。
しかしまさかこの「メガバンク最終決戦」でもM資金や闇の官僚組織が出てくるとは思わなかった。
やはり日本の経済エンターテイメント小説を書くときは欠かせないのだろうか。
実際に存在するのかしないのかも分からないし(笑)
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