02.経営の最近のブログ記事

 

 湖西市商工会の商業部会様が企画した視察研修に参加させて頂きました。

 商店街活性化の先進的取り組みを視察する事で湖西市商業発展のヒントを得ようとの企画です。

 

1.行き工程

 幸運にも晴天に恵まれましたが非常に寒い1日となりました。

going1.JPGgoing2.JPGgoing3.JPG

上京する時富士山が見えるとテンション上がります!

 

2.巣鴨地蔵通り商店街

 元気な商店街を学ぶ目的で訪問させていただきました。巣鴨地蔵通り商店街振興組合の小林哲様には、お忙しい中商店街の取組みをご説明いただき感謝しています。

sugamo study1.JPGsugamo study2.JPG

巣鴨地蔵通り商店街の中央にある振興組合事務所でご説明いただきました

 

 「お年寄りの原宿」と言われるだけあり、平日1万人、縁日には1日5万人の方が来られる商店街とは恐れ入りました。商店数が170店もあり、婦人服(赤パンツ等)、和菓子(塩大福等)、薬屋が多く近年ではタリーズをはじめとした大手チェーン、コンビニ等の出店も進んでいるそうです。

 そうしたチェーンも基本的に商店街振興組合に加盟いただき一体となって地域振興に取組んでおられる姿に感銘を受けました。巣鴨地蔵通り商店街には商店街コンセプトまで設定されている事が驚きでした。「ぶらり・お参り・ゆったり 巣鴨」というそうです。組織としては、年1回の組合総会があり、月1回理事会が開催されているそうです。毎月「途切れなく」イベントが行われており、総合企画委員会により企画され、毎月のイベント毎に特別委員会が設置され運営されていました。非常に組織力の高い商店街振興組合であると感服いたしました。

 ここまで活性化が進んでいると十分ではないかと思うのですが、ここで歩みを止めないのが活性化されている所以であると感じました。現在、バリアフリー化に取組んでいるようです。「お年寄りの原宿」としては取り組まねばなりませんね。他に、「無電柱化」に取組んでいるそうです。どこかで聞いたことあるな、と思ったら巣鴨地蔵通り商店街は衆議院時代から小池都知事のお膝元でしたね。

 今後に関しては、若手育成研修会の実施による個別店舗の強化、巣鴨ブランドを活用した取組み等様々掲げられていました。驚いたのは、「外国人観光客への対応強化」、はたまた「お年寄りの原宿からの脱却」といったものまで検討されている事でした。実際、商店街に来られる方の約30%は若者であるそうです。本当に取組むかはさて置き、柔軟な発想には触発されるところが多かったです。

お昼は巣鴨地蔵通り商店街の菊谷さんで手打ち蕎麦をいただきました

sugamo watch1.JPGsugamo watch2.JPGsugamo watch3.JPG

ゆるキャラのはやる前から活躍している「すがもん」

 

3.まるごとにっぽん

 こちらは、東京初出店や初めて商売を始められる方を応援する施設として、プロモーションを請負う意図の元、比較的長期の契約を結びじっくりと販路拡大に取組めるよう計らっているところに感心いたしました。

 株式会社東京楽天地という企業が運営しているとのことでした。なんと、商売の神様、いや実業家の神様ともいえる小林一三が創業したとのことで、それだけでも心が躍る施設です。元はボーリング場等の興業施設だったものをスクラップアンドビルドし「まるごとにっぽん」としてオープンしたそうです。

 視察に参加された静岡すやま園様は既にこちらに出品してらっしゃいました。売場担当の方と現状を確認された後、今後の方策につき協議する姿が印象的でした。3階「たいけん広場」の「おすすめふるさと」では地域の名産品の物販の他、日本各地のふるさと納税の紹介、職場の紹介(リクルート情報)、観光地の紹介を行っており、正にまるごとにっぽんといった感じです。

marugoto nippon1.JPGmarugoto nippon2.JPGmarugoto nippon3.JPG

浅草の新たな観光スポット「まるごとにっぽん」

 

 100%民間で運営する事で公共施設の公平性といった観点を減らし、いい意味での依怙贔屓を実践できる場という理念が面白かったです。飲食店には23時まで営業していただき、従来浅草は寺が閉まった後閑散とすることがネックだったため、深夜の賑わいを促進する意図を持っておられました。実際僕たちも遅くまで浅草を満喫いたしました!

asakusa all.JPG

視察研修に参加された皆さんと「まるごとにっぽん」近くの奥山おまいりまちにて記念撮影

 

4.逗子市商工会

zusi1.JPGzusi2.JPG

(1)ずし呑み事業

 市の補助金を活用して事業をスタートさせ、現在では自主事業として収益事業に発展しているそうです。街呑み自体は藤沢市で発祥し、「三島バル」に学んで実施にこぎつけたとのことです。

 企画部会で企画を練り、飲食店部会が実行に移していく組織運営をされており、元々飲み屋が多いという強みを持つものの、初めての人は入りずらいという弱みを克服するために実施したそうです。開催期は商売が閑散期となる2月に実施とよく考えられていて感心いたしました。

 商工会非会員の方でも参加可能としているが、結局はこれをきっかけに入会されるとのことで、商工会の会員増強運動にもプラスとなる事業ではないかと感じました

 

(2)ワンコインdeスタンプラリー事業

 「ずし呑み」事業の成功により、飲食店だけでなく物販店舗でも同様の取組みを行おうという事で始まった事業とのことです。人口約40万人の中核市である横須賀市と一大観光地である鎌倉市に囲まれ、放っておけばお客様が外へ行ってしまうという危機感の中、自分の市を見直してもらうきっかけとして始められました。

 逗子市の各エリア毎にスタンプの色を変え、多色を集めるメリット(プレゼント)を提供することで市内の回遊性を高める工夫がされており勉強になりました。

 アンケートによると、パスポート持参をきっかけにお店の人が話しかけてくれてうれしかったとの回答があり、パスポートがコミュニケーションツールとなるのだと感心しました。また、色々な店に行くきっかけとなって楽しかったとの答えもあり、店の味、店の雰囲気を知っていただくきっかけとし最高の取組みだと思います。広告効果として自店を知っていただくきっかけになり、エリア外からの集客促進効果もあるようで、非常に勉強になる取組みでした。

zusi3.JPG

逗子市商工会様には「逗子パスポート」や「ずし呑み」等の資料を用意していただきました

 

5.鎌倉

 最後は鎌倉にて自由観光を楽しみました。鎌倉カレーを頂こうと思いましたが、「ドルチェファールニエンテ」にてランチをゆっくりと頂きました。こうしたおしゃれなお店があるところが観光地鎌倉の魅力ですね。鎌倉野菜という地域産品を活用したトマトソースパスタをいただきました。ドルチェファールニエンテのある鎌倉小町通りもまた、非常に賑わいのある商店街でした。

kamakura2.JPGkamakura3.JPGkamakura1.JPG

鶴岡八幡宮から鎌倉商店街、相模湾を望む

 

 今回の視察研修旅行で、地元の活性化に取組んでおられる方々の活動を目にする事が出来て非常に勉強になりました。皆さんの情熱、工夫、行動を明日からの業務に活かしていきたいと思います。

 

ぶらり、ゆったり、今こそ癒しの街・巣鴨―とげぬき地蔵通り商店街の新たな挑戦

 

 

映画「海賊とよばれた男」を観た。

 

kaizokutoyobaretaotoko1.JPG

海賊とよばれた男は当館では入場者第3位だった もう少しみんなに観てほしい!

 

百田直樹の小説を読んでいたので、どこまで実写化されるか興味があった。

小説ラストの見せ場、徳山製油所の建設までは描かれず、やはり日承丸のイランへの特攻までが描かれていた。

 

始まりは門司にて国岡商店を創業するところからであった。

創業資金の提供を受けるところから、関門海峡での「海賊行為」、満鉄への潤滑油納入交渉、

戦時中の南方事業への取組みと東雲の死、そして戦後復興期における資金調達、ラジオ事業への新規事業進出、

海軍備蓄タンクでの重油回収作業、小役人石統との抗争、

そして日承丸のアバダン派遣まで本当に盛りだくさんのストーリーでした。

盛りだくさん過ぎて一つ一つのエピソードが薄れてしまった感はありますが、

小説等の映画化の際は極力元ネタどおりに描く事が重要だと思っているので、これで良かったと思う。

 

僕のお気に入りのエピソードである、創業資金調達、石統との闘争、そしてイラン特攻が盛り込まれていたので文句なしである。

欲を言えば、その三つのエピソードをより詳しく描いてほしかった。

海賊とよばれた男を読んでない人にも映画を楽しんで欲しいから、

単行本2冊分を2時間半にまとめ上げなければならない事を考えると、これが精一杯だろう。

山崎貴監督には、映画化してくれてありがとうと言いたい。

 

門司での「海賊行為」に多くを割き過ぎと思ったのだが、そこでの「国岡のもんや、油持ってきたけぇ!」が、

戦後イランへ油を買い付けに行き、日本国へ石油を持ち帰るハイライトを思う時、

そこでも「国岡のもんや、油持ってきたけぇ!」の心意気が生きている事に思い至り、

十分に描いておかなければならないエピソードなんだと思った。

 

kaizokutoyobaretaotoko2.JPG

国岡商店の法被、欲しくなります(^O^)

 

 

 

映画「海賊とよばれた男」の公開が間近に迫っています。

本屋大賞受賞作であり、琴線に触れる戦後日本の復興を支えた男たちの物語だったので、

文庫化されてすぐに読んでいました。

kaizokutoyobaretaotoko.JPG

百田尚樹著 「海賊とよばれた男」(講談社)

 

「大家族主義」を標榜し今は亡き日本的経営の本家である出光の創業者、出光佐三をモデルにした胸が熱くなる物語です。

読んでいても、出光佐三は出光家の父、出光興産の父、日本株式会社の父であったと再認識しました。

出光興産という家のためなら何でもやる親父、といった感じです。

融資を取付ける為にどさ回りのごとく銀行回りを行う姿に感動しました。

倒産の危機に瀕したトヨタ自動車を救うため銀行回りをした豊田喜一郎を思い出します。

奇しくも平成の世の中になっても日本的経営を続け日本国内にこだわっている2社であることに不思議なえにしを感じます。

 

敗戦に打ちひしがれた社員、国民に勇気を与えた出光佐三。

復員してきた社員が焼け野原に残った出光会館を見つけ歓喜し涙する場面も映画で描かれるでしょうか。

idemitsukan.JPG

東京銀座の出光館、日章興産ビルと歌舞伎座

 

そうした仕事の無い復員兵(社員)が廃油をすくっている場をねぎらうため、

出光佐三が旧海軍燃料廠を訪れる場面がたまりません。

「店主、服が汚れます」「服など洗えば済む」・・・

まさに放送作家の書いた小説だね。

後年、東京銀行が出光興産に対して担保もなく巨額の融資を決断する理由が、

旧海軍燃料廠で黙々と仕事に取組む社員、そうした社員を家族のごとく大切にする経営者がいる組織・会社に貸しても懸念は無い

と判断したから、となる場面で銀行家はかくあるべしとの思いを新たにしました。

また、戦前の話しとして、日田重太郎という人物が出てきますが、

まさにこの人は現在でいうエンジェル投資家のような人物だったと思います。

彼は投資でもないから報告もいらない、と言っていましたが。

 

敗戦後GHQとの丁々発止のやりとりも一つの主題になっています。

出光佐三が通訳者に「プリーズと言うな」、と怒鳴る場面は日本人としての気概を持つことの大切さを教えられます。

西郷隆盛が言うところの「始末に困る人物」とはまさに出光佐三のような人物を言うのだろうと思います。

また、GHQの中にも心ある人物はいて、数年前まで戦火を交えた日米の間に

武士道と騎士道のような古き良きアメリカと古き良き日本の邂逅があったのだと感じます。

一方、逆に卑怯で卑屈で男らしさのかけらもない男は 立場が下の者には横柄になる

という分析は人としてのあるべき姿を教えてもらいました。

 

出光佐三の功績はやはり、民族資本の石油会社を戦後の日本に確立した事だと思う。

敗戦で日本国中が打ちひしがれる中、民族資本の出光興産が外資の軍門に下った途端、外資による日本蹂躙が始まり、

日本経済は外資に支配される、との気概を持つことは並大抵のことではなかっただろう。

今年、出光と昭和シェルの合併話が出た時にこのくだりが頭をよぎりました。

経済合理性から見たら合併が最善の選択肢であるかもしれないが、やはり出光には独立独歩の道を進んでほしいと思う。

 

そして、民族資本にこだわった会社が起こす「日章丸事件」がこの物語のハイライトだろう。

イランに特攻をしかける新田船長をだれがやるのか、今から気になっています。

今から様々な名シーンが頭に浮かんできます。

新田船長が日章丸の中で出光佐三からの檄文を読み上げるシーンなんか観たら泣いちゃうだろうな。

アバダン港に向けシャット・アル・アラブ河を遡上する日章丸を子供たちが手を振りながら迎える場面はたまらないだろう。

映画は日章丸がイギリスの包囲網をくぐりぬけ、無事日本に帰港した新田船長を出光佐三が迎える場面で終わるのだろうか。

山崎貴監督の手腕に期待です。

 

小説では日章丸のイラン特攻後、徳山に出光興産の社運を賭けた製油所を建設するストーリーまで描かれています。

ここも古き良きアメリカの男気を感じさせるエピソードも多いため捨てがたいですね。

GHQといいアメリカの金融機関・鉄鋼会社といい、その懐の深さに恐れ入る思いです。

idemitsu tokuyama.JPG

新幹線から見た出光興産 徳山製油所(おそらく左端の方)

 

出光佐三が、日本人が誇りと自信を持っていれば、日本はいくらでもより良い国になっていく、

と語ったように今後もそうした日本でありたいと思う。

そのためにも日本、及び日本人の為に死んでいった神風特攻隊の話や、

こうした民族資本に賭けた企業家の話は語り継いでいかなければならない。

 

経営の失敗学

 

菅野寛著「経営の失敗学」(日本経済新聞出版社)は近年重要性が認識されている「失敗学」を経営に絞って記された本である。

「天国に行くのに最も有効な方法は、地獄に行く道を熟知することである」ニッコロ・マキャベリ

「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」松浦静山(野村克也?(^O^))

等々失敗にまつわる名言も重視されてきているようである。

 

本書の骨格も同じく、経営に必勝の法則はないものの、必敗の法則はあるとのスタンスで書かれている。

第一部では「失敗から学ぶ」と題し、

第1章:ビジネスは失敗の山

第2章:ビジネスは本質的に失敗する運命にある

第3章:成功学の幻想

第4章:成功は学べない

第5章:失敗学の有用性

と言った章立てになっている。

第2部では「陥りがちな失敗のパターン」と題し、

第6章:考えるアプローチ、頭の使い方がずれている

第7章:戦略の筋が通っていない

第8章:顧客が求めていない価値を提供してしまう

第9章:定性的なロジックの詰めだけで満足して、定量的な数字の詰めが甘い

第10章:リスクや不確実性に対処しない

第11章:「地雷除去」が行きすぎた結果、戦略が尖っていない

第12章:実行に必要な徹底度が足りない

第13章:実行者の意識・行動を変えていない

終章:失敗する経営から成功する経営へ

と様々な失敗のパターンが提示されている。

こうした失敗パターン(地雷)を避ける事で成功の「確立」を上げよう、と言うのが本書の趣旨である。

 

経営戦略(事業計画)の立案から実行に至るプロセスは、

①経営理念・ビジョンを鑑みて、

②自社を取巻く外部環境分析を行い(ニーズ・競合の把握等)、

③自社内の内部環境分析を行った上で(強みの把握)、

④全社戦略を決定し、事業戦略や機能別戦略に落とし込み、

⑤売上計画、利益計画等の数値計画を策定し、

⑥アクションプランを決定して実行に移す

⑦予実管理を行い次期経営戦略の立案を行う

といったステップを踏む。

経営戦略の概念図.jpg

経営戦略の概念図

 

本書はこうした経営戦略の立案から実行に至る間に潜む失敗パターン(地雷)を

各ステップごとに示されており、非常に参考になる。

第6章、第7章は④の経営戦略立案時における失敗パターンを、

第8章はまさに②の顧客分析時の失敗パターン、

第9章は⑤の戦略の定量化における失敗パターン、

第10章は⑥及び⑦の戦略実行とチェック&軌道修正時の失敗パターン、

第11章は再び④の経営戦略を練る時に陥りやすい失敗、

第12章、第13章は⑥の戦略実行時の失敗パターンが掲げられている。

第12章、第13章で⑥にあたる実行時の失敗パターンを述べる時に、①の経営理念の重要性が力を込めて述べられている点で、

経営理念の大切さを再認識できた。

 

失敗パターンの概念のみを述べるのではなく、各失敗パターンの実例が豊富なため、

具体性を持って経営の失敗学を学べると共に、経営の読み物としても楽しめる本である。

このように、本書は経営戦略策定に関して一通り学んだあと手に取ると非常に有効なものとなっている。

明けましておめでとうございます。

「ダイヤモンドハーバードビジネスレビュー 2016年2月号」は、僕らコンサルタントにとって耳が痛くもあり、

非常に為になる内容が盛りだくさんでした。

雑誌の中の「アドバイスの科学:与える技術・受ける技術」と題された記事が非常に勉強になったのでレポートします。

 

1.助言はなぜ一般に考えられているより難しいのか

何を求められているかを知る.jpg

何を求められているかを知る(ハーバードビジネスレビュー2016年2月号)

・助言を求める際の落とし穴

(1)「答えはわかっている」と思い込む

  形だけ、あるいは手間を省くだけに助言を求めれば、先方はそれを察する

(2)相談する相手を間違える

  親しさ、頼みやすさ、温和な人柄などは、安心や大きな信頼につながるが、

  助言の中身が優れているかどうかとは無関係

  ・どの分野の見識が役立つか

  ・誰なら類似の問題を解決したことがあるか

  ・最も関連性の高い知識を持つのは誰か

  ・一番の経験者は誰か

(3)問題のとらえ方が甘い

  コミュニケーションが稚拙なことにより相手との相互理解に至らないことにより、

  問題の本質を把握する事が難しくなる。

(4)助言を軽んじる

  自己中心バイアスに陥り、助言を何度も聞き流していると、不振や反感を招く

  地位の高いものは助言の3分の2を無視する。

(5)助言の価値を見誤る

  助言を受けた者の大半は内容の良し悪しを適切に判断できない

  自信を持って授けてくれた助言をありがたがる

  常識と異なる助言、頻繁に意見が食い違う相手からの助言は的外れだと受け止めがち

 

・助言を授ける際の注意点

(1)余計な世話を焼く

  頼まれてもいないのに助言をする

  適任でないのに口をはさむ

  根拠のない助言を気軽にする

  余計な助言を一度しただけでも、たちどころに評判は落ちる

(2)問題の本質をとらえ損なう

  助言者は解決すべき問題をはっきり理解するため、情報収集に努めなくてはならない

  失敗例1、過去に直面した課題に似ていると思い込み、早計に判断を下す

  失敗例2、助言を求めるものは歪んだ説明をすることを忘れてしまう

  専門家は面目を保つため、基本的な質問をして問題を掘り下げる事を避けてしまう

(3)自己本位の助言をする

  「自分だったらこう対応する」という視点からアドバイスしてしまう

  助言を求める側の感情、状況認識、選択肢の理解度を考慮していない

  相手にとって現実的ではない逸話や経験を話してしまいかねない

(4)助言内容をうまく伝えない

  誤解を招く曖昧な提案をしてしまう

  専門的な業界用語や理解しづらい言葉や表現を使ってしまう

  あらこれ並べ挙げて相手を困惑させてしまう

(5)後の対応を誤る

  自分の意見が受け入れられず、感情を害し対話を打ち切ってしまう

  助言を受ける側が誰か一人の意見だけをもとに行動する例は希である

  助言する側は、相手のこうした反応を貴重な情報としてくみ取りながら話をするべき

 

2.助言をめぐるベストプラクティス

助言の各段階における留意点

(1)第一段階:適任者を見つける

  自分用の助言者リストを作成しておく

  リスト作成の際は、「優れた判断を下し、秘密を守ってくれる」ことが前提条件

  その他、強み、経験、視点等多様性のある人をリストアップする

  助言を求めるものの利益を本心から願い、厳しい意見を述べる事もいとわない人

  相談相手を選ぶ際は、どのような理由で何をしてほしいのかをはっきりさせる

  参照:「助言者が果たし得る役割」

  「助言をもらう相手を選ぶのは、助言内容を選ぶことに等しい」

こちらの欠点や限界を補い、不安に応えられるだけの経験、専門性、知識基盤を備えた相手を見つけること

助言者を選ぶときに、信用、好感度、友情、こちらの考えを補強してくれるかどうかなどに主眼を置くのは避けるべき

  自分が助言を求められたら「自分は本当に適任だろうか」と胸に手を当ててみる

  助言を求めてきた相手に、なぜ自分に白羽の矢を当てたか尋ねてみる

助言者が果たしうる役割.jpg

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

助言者が果たしうる役割(ハーバードビジネスレビュー2016年2月号)

 

(2)第二段階:共通の理解を得る

  状況、問題、希望等の情報を過不足なく助言者に伝える

  助言の良し悪しは、人物や組織の実態をどれだけ詳しくつかんでいるかに左右される

  胸襟を開いて効率よく話ができる環境づくりをする

  助言者は、相手の話をできるだけさえぎらずに傾聴し、判断を控える

  「この点についてどう感じていますか」等自由回答式の問いを投げかける

  こりにより、心理的な壁を取り払い、本音を明らかにし、問題の本質にたどり着く

  =「概略を知るための質問」

  助言者は忍耐強く質問を重ね、全体像を掴んでから適切な助言を考え付く

  相手の利害と目的を探り当て、組織のそれと比べてみる

十分な情報を集め、「どういった役割をはたすべきか」という大切な点につき意見を合わせる

助言の各段階における留意点(1~2).jpg

助言の各段階における留意点:第一段階~第二段階(ハーバードビジネスレビュー2016年2月号)

 

(3)第三段階:複数の選択肢を抽出する

  多様な選択肢があると意思決定の質が劇的に高まる

  分析や探究を心がけて複数の選択肢を見つけ、比較検討する

各選択肢の費用と効果、論拠、状況への適合性、アイデアの実行に向けた戦術、想定される影響、

備えるべき事態等につき選択肢の中身を精査する

  助言する者は運転の仕方を教えるつもりになると良い

  目的は相手が独力で行動をおこせるよう後押しをすること

  「進路は助言者ではなく本人が自分で見つけるべき」

  どういった原則をもとに助言を行っているかを伝える

  参考にした経験や類似の経験を紹介する

  自分の思考プロセス、先入観は何かを明確にする

  「私の意見のどこがおかしいだろうか」と単調直入に聞いてみる

(4)第四段階:選択肢を一つに絞る

  確証バイアスに囚われ、誤った理屈により安易な道を選ばない

  除外した選択肢、あまり考慮しなかった選択肢について考え直す

  この段階でも第二、第三の助言者に意見を聞いてみる

  二人の助言者に当たれば、複数の人から助言をもらうメリットの大半は得られる

  どれだけ急を要しても、もっとも単純で手軽な解決策に飛びつきたい衝動を抑える

  助言者は相手が判断を下す前に全ての選択肢を探る

  各案を実行した場合に最も起きそうな結果は何かを話し合う

  対話を心がけ、各案の長所と短所を比較、評価する

  仮定の話をし、取るべき行動に焦点を当てる

話の途中で何度も間を取り、相手が助言を快く受け止めているか、

論拠にどれぐらい納得しているか、様子を見る

  暗黙の前提、くすぶる懸念、未解決の疑問を一緒に掘り起こす

  影響を予測できない場合は「わからない」と答える事が望ましい事を認識する

  詳しい行動プランを立てるには、往々にして念押しが欠かせない

  前進に向けてどう行動するつもりかを問い質してみる

  解決策を実行し、結果を知らせに来るよう背中を押す

(5)第五段階:助言内容を実行に移す

  助言は条件付きの暫定的なものとして扱う

  指導、行動、学習、更なる指導のサイクルを繰り返す

  新たな情報が得られたりしたら、必要なら追加の助言も行う

  自分のこれまでの取組みやその成果を助言者に伝え、関係を深める

  助言者はこの段階での積極的な関与は避ける

主体的に前進すべきと相手にはっきり伝える

重視しているのは、助言者は「なぜその行動をとるのか」、もらう側は「どう仕事をやり遂げるのか」

助言の各段階における留意点(3~5).jpg

助言の各段階における留意点:第三段階~第五段階(ハーバードビジネスレビュー2016年2月号)

最後にまとめとして、

  匠の域に達した人は、単に知見をやり取りするだけでなく、創造と協働を実践する

  双方が、問題をより良く理解して打開の為に有望な方法を編み出せるよう努力する

 

僕も以上の点に留意して今後も中小企業診断士として活躍していきたいと思います!

どうぞ本年もよろしくお願いします。

税理士法人BETTが開催する「《中小会計要領》普及とその真の目的」と題したセミナーに参加させていただきました。

講師は当法人所属の梅田久さんです。

 

今年に入り2度目の「中小会計要領」に関するセミナーとなります。

いかにこの要領が今後の中小企業経営において重要なものかを実感しました。

 

セミナーの要旨は国が経営環境の変革に本気であること、

そのため中小企業の経営内容に対するチェックが厳しくなることの2点です。

 

国が本気であることは、本施策が仲のよろしくない金融庁と経産省が

協調して行われていることによっても明らかとのことでした。

チェックの厳しさは金融庁から金融機関、金融機関から中小企業へとつながるそうです。

 

今までは経営改善計画を作成すればOKだったものが、今後は計画の実施をより強く求められるようになるようです。

いわばPlan(計画)から、よりDo(行動)が求められてくることになります。

中小企業診断士としても、経営戦略立案と共にその実施に対しても貢献することが求められると感じました。

湖西市商工会青年部主催の金融セミナーに参加してきました。

講師は坂本&パートナーの山尾秀則税理士です。

 

「中小企業金融円滑化法案」の期限の延長について概要を説明いただいた後、

今後の中小企業政策と「中小会計要領」を講義してくださいました。

 

金融円滑化法は延期されたから一安心ではなく、

金融庁から金融機関へ「監督指針」が示されていたことを知りました。

今後、経営者は金融機関から一層経営者としての心構え・態度が求められるとのことです。

 

今後の中小企業政策では、求められる中小企業像は自立的な中小企業であり、

そのためには戦略的経営力を強化する必要があとのことでした。。

 

戦略的経営力として強化すべき点として4つ挙げられていました。

1.経営者自らが自社の財務状況を把握し行動していく力

2.金融機関とコミュニケーションを図り資金調達力を確保すること

3.成長のための知恵・知識・ノウハウ

4.技術力と人材

 

今回のセミナーで講師の方が何度も強調されていたのは「自立的」な中小企業という点です。

中小企業診断士としては、中小企業者様が困っている点を解決する事もさることながら、

自立に向けた成長を促すという点も重要だと再認識させていただきました。